道内ホテルや百貨店 安く環境重視、天然ガスに転換 原油高背景に続

原油高の影響で、ボイラーなどの燃料を重油から天然ガスへ転換するホテルなどの大型施設が道内で増えている。天然ガス化は、コストばかりでなく、地球温暖化の要因とされる二酸化炭素(CO2)削減にもうってつけ。環境対策のPR効果も期待され、需要の増加が見込まれている。

 北海道経済産業局のアンケートによると、道内の大規模な事業所二百七十九カ所のうち、三割がすでに天然ガスを導入。導入していない事業所でも、五割が将来の天然ガス化に前向きの姿勢をみせた。

 国の補助事業を利用した燃料転換も増えている。補助の申請窓口である都市ガス振興センター(東京)によると、二○○六年度の申請件数は全国で六百五十七件に達し、○三年度の百六十八件に比べほぼ四倍に増加。道内でも○六年度以降、三十七社が実施した。

 道内の重油価格は一リットル約七十円と三年間でほぼ倍増し、各事業所の経営を圧迫している。一方の天然ガスは価格も安定し、CO2発生量も重油より二割以上少ない魅力的な熱源だ。

 札幌市のホテルロイトン札幌は昨年十一月、冷暖房や給湯のボイラーを天然ガス化した。清水薫総支配人は、「環境保全は社会全体で取り組むテーマ。コストはもとより、CO2削減が転換の大きな狙い」と説明する。

 ロイトン札幌の十一月のCO2発生量は、前年比で約二割減少。年間二百六十六トンの削減が見込まれ、約五・三ヘクタールの森林が吸収する量と同じという。経費も前年比で10%減り、環境対策とコスト削減が両立した格好だ。

 「脱重油」は、百貨店などの流通業界でも進む。札幌三越は三年前にガスに転換。ロビンソン札幌が入るすすきの十字街ビルも一昨年ボイラーの60%をガス化した。同ビルの担当者は「環境にも貢献できる。さらに転換を検討したい」と話す。

 天然ガス化は国の温暖化対策大綱でも具体策として盛り込まれており、原油高を追い風とした燃料転換の動きは今後も広がりそうだ。